美容整形外科の医療行為に関する諸問題

投稿日:2017年4月17日

カテゴリ:事務所ブログ

当事務所は、医療過誤問題の専門ではありません。しかし、薬事法を扱い、化粧品や医薬部外品などを巡る法律問題を多く扱う関係からでしょうか、美容整形外科の医療過誤問題の実績があります。
美容整形外科の治療、手術などの過失、損害賠償が問題になった場合にもっとも問題になるのは、医師の説明義務の程度、範囲です。
美容整形外科の治療、手術には、緊急性がありません。ここが、通常の病気治療とは決定的に異なります。緊急性はないのですけれども、ご本人にとっては極めて深刻かつ、緊急に「感じられ」ます。しかし、医師は専門家であり、その治療、その手術に緊急性がないことを「理解して」います。したがって、ご本人に対し、手術治療の利害得失について、時間をかけて、具体的に懇切丁寧に説明し、理解度を確認しながら、熟考を促す必要がある。
しかし美容整形外科の先生も、手術、治療によって生計を立てているわけですから、本音では「即決してほしい」とお考えになることもある。そこに、お客様との間に不幸な食い違いが生まれ、紛争が発生する契機があります。そして一度対立が発生すると激化するのが、この種の事件の特徴です。今まで信じていた医師の言動一つ一つが疑わしくなり、「あれはこういう意味だったのではないか」「こうだったのではないか」と、どんどん悪い方向に患者さんは考えがちになるからです。病院側は、利害得失について書面と口頭、両方で、特に丁寧に説明するべきでしょう。
しかし我が身を振り返れば、これは、全くそのとおり法律事務所にも当てはまることです。専門家である以上、専門家ではない皆さまに判り易く、丁寧に現状と取り得る手段、今後の見通しをご説明していき、可能な限り、誤解が生じないように努力していく。お客様にはわからない、理解できない事柄であることを当然の前提で、できる限りそのお客様の目線に近づいた説明をして納得をいただいていく。それが専門家としての責務です。お客様にしっかりご信頼頂いたうえで事件を処理していくことを、常におころ掛けてまいります。