会社、サラリーマンと独禁法違反に関する事件
投稿日:2017年8月1日
カテゴリ:事務所ブログ
先日、一人の元サラリーマンが来所されました。執行猶予期間が無事に終わりましたという、ご報告のためにわざわざ来てくださったのです。
彼の罪名は独禁法違反でした。
彼の会社は、ある公共事業の発注側でした。しかし行政からの無理な要請、現場を理解しない上司の指示や、政治の混乱などを受けて、工事発注は難航しました。入札日も延期が繰り返された。
このまま、工事完成が遅れれば、叩かれるのは彼の部、彼の部下たちです。切羽詰まって追い詰められた挙句、彼がしてしまった、してはいけない行為でした。
公取委、警察の取り調べは過酷でした。わたくしどもの事務所はこの取り調べの段階から介入させていただき、刑事裁判を担当、そして民事裁判の方も関与させていただきました。
部下のために、会社のために、全体のためにと思うまじめなサラリーマンほど陥りやすい罠、それが発注価格の漏洩であり、談合です。
どこまでの行為が許され、どれが許されないのか。どこまでが安全でどこから先が危険なのか。万が一の場合、上司は、会社はどうすればいいのか。
談合や漏洩が起こってしまう背景には、不適切な入札システムや工事全体のゆがみがあります。それを十分に理解したうえで対応しなければなりません。
いずれにせよ、わざわざ執行猶予あけにご挨拶に来てくださったのはとてもうれしく、お客様のお顔もとても晴れ晴れとしてみえました。今後のご多幸を心からお祈り申し上げます。
■ 他の記事を読む■