いわゆる「勝ち筋」の事件、「負け筋」の事件

投稿日:2017年2月14日

カテゴリ:事務所ブログ

事件について、「負け筋」「勝ち筋」という言葉を使う弁護士がいます。

私はこの言葉は好きではありません。負けた時に担当弁護士が、「まあ、あの事件は、負け筋だったからな」と言うなんて、言い訳以外のなにものでもないからです。

しかし、確かに、「これは、勝てないな」「これは、勝訴はとても難しいな」という事件はあります。時々、「弁護士って、負けるのが判っている事件があるでしょう?そういう事件も、頼まれたら引き受けるんですか?」と、尋ねられることもあります。

「これは勝てないな」と思う事件、それは、法律的に見て、お客様に責任が認められてもやむを得ない事案や、時効期間が経過しているなど、お客様に明らかに請求権がない事案です。

「これは勝つのが難しいな」という事件、それは、証拠がない事件、あるいは、契約書の文言や、法律などの解釈に争いが生じている事案です。特に多いのが「証拠が足りていない」事件です。

ですが、「勝てない」ということと「負ける」こととは違います。勝てなくても、弁護士が介入し、手続きを進めていくことで、紛争それ自体が軟着陸し、お客様に与えるダメージを最小限にとどめることができる、そういう場合もあります。「勝てない」「勝つのが難しい」事案で、弁護士はそのような解決を目指します。

そして、弁護士が入り、専門的なアドバイスをしながら、事案の処理を進めていくうちに、当初は見えていなった、お客様にとっても納得できる解決が、次第に見えてくる、という場合も多いものです。我々が目指すのは、「お客様にとり、可能な限りダメージの少ない解決」「お客様が納得できる解決」です。

「証拠がないから勝てないよ。やるだけ無駄ですよ。」「これは、あなたに請求権がないからね。」と、お断りするのは簡単です。ですがそれでは、お客様のためにもなりませんし、事案の良い解決も得られません。こういう場合には、お客様の納得のいく解決、一歩でも半歩でもいい解決を模索して、粘って粘って粘り抜く苦しい交渉を根気強く続けたい。そして、お客様によろこんでいただきたい、私たちはそう考えます。